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睡眠時無呼吸症候群

睡眠時無呼吸症候群とは?

睡眠時無呼吸症候群は寝ている間に呼吸が停止し、酸素不足で眠気や合併症を引き起こす病気です。診断は1時間の睡眠中に10秒以上の呼吸停止が5回以上ある場合に行われます。
この病気は日中の眠気やだるさだけでなく、心不全や高血圧動脈硬化による合併症も引き起こす重要な問題です。

睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠中の症状

いびきや呼吸停止は、睡眠中に呼吸が妨げられることで起きるもので、これが繰り返されると十分な酸素供給がなされず、心血管疾患や日中の眠気などの問題を引き起こす可能性があります。不眠や寝汗がひどい、熟眠感が得られないといった症状も関連している可能性があります。これらの症状がある場合は、睡眠検査を検討することが重要です。

日中の症状

寝起きがすっきりしない、倦怠感(だるさ)がひどい、口が渇いている、日中の眠気、頭痛がするといった症状は、睡眠中の問題が原因となっている可能性があります。自分では気づきにくいため、御家族の協力で症状を確認することが重要です。

 

睡眠時無呼吸症候群セルフチェックリストエプワース眠気尺度

エプワース眠気尺度は、自己申告式の眠気の評価法で、対象者が日中の眠気の程度を自己評価するためのスケールです。合計が11点以上だと、睡眠時無呼吸症候群の可能性が高いとされています。

睡眠時無呼吸症候群の原因

睡眠時無呼吸症候群は、原因によって閉塞性睡眠時無呼吸症候群と中枢性睡眠時無呼吸症候群の2つに分類されます。中枢性睡眠時無呼吸症候群は、肺や呼吸筋には異常がなく、脳からの呼吸の指令が正しく出なくなる呼吸中枢の異常が原因です。脳や心臓の病気が関連していることがありますが、全体の発症率は低いです。

一方、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の原因は、気道を塞ぐ要因が存在することが主な特徴です。肥満、暴飲暴食、歯並びが悪い、舌や扁桃腺が大きい、小顔や下あごが小さい、首が短い・太い、アルコール摂取などがこれに関与するとされます。気道の物理的な障害や筋力の低下が引き起こされることが考えられます。痩せている人でも特定の要因が当てはまる場合には、閉塞性睡眠時無呼吸症候群の可能性を検討する必要があります。

 

睡眠時無呼吸症候群を治療しない場合…

睡眠時無呼吸症候群は自覚症状が少ないため受診が遅れがちで、未治療の状態が続くと様々な深刻な合併症が引き起こされる可能性があります。睡眠中の交感神経の過剰な活性化により、以下のような症状や合併症が発生することが報告されています。

高血圧症・全身動脈硬化

睡眠時無呼吸症候群が原因で血圧が上昇し、全身の動脈硬化が進行する可能性があります。

肥満・糖尿病・高血糖

睡眠時無呼吸症候群により血糖値が上昇し、肥満や糖尿病のリスクが増加します。

不整脈

心房細動などの不整脈が発生する可能性があります。

筋肉の過緊張

筋肉が緊張しやすくなり、肩こりや頭痛などの症状が現れることがあります。

便秘症

腸の動きが悪くなり、便秘が引き起こされる可能性があります。

これらの合併症は重症度に応じて死亡率が上昇するリスクも示唆されています。そのため、睡眠時無呼吸症候群の早期発見と積極的な治療が重要です。当院では検査と治療を推奨しており、ご自身の健康を守るためにも受診を検討されることをお勧めします。

当院で可能な検査について

自宅でできる簡易検査(アプノモニター)

就寝時に鼻にカニューレを装着し、指先に酸素飽和度モニターを取り付けます。この検査で、酸素飽和度、無呼吸の回数、いびき音などのデータを取得します。
自宅で行える手軽な検査であり、その結果に基づいて必要ならばさらなる詳細な検査を検討します。必要に応じて、さらなる精密検査が必要な場合には、専門医療機関に当院からのご紹介も行っています。

 

睡眠時無呼吸症候群の治療について

CPAP治療

当院では、睡眠時無呼吸症候群の有効な治療法としてCPAP治療を提供しています。この治療は、睡眠中に気道が狭窄や閉塞を起こし無呼吸が生じる症状に対処するため、鼻または鼻と口を覆うマスクを使用し、圧をかけた空気を送り続けるものです。これにより気道を開いたまま保ち、無呼吸を防ぎます。
慣れるまで数か月かかることがありますが、マスクの選定や圧の調整は密に相談し、最適な設定を見つけます。快適さを考慮し、機械のサイズもコンパクトで持ち運びがしやすいものを使用しています。

マウスピース

マウスピース治療は、特定のマウスピースを使用して下あごを上あごよりも前に突き出すことで気道を広げ、無呼吸を防ぐ方法です。この治療法は軽症の睡眠時無呼吸症候群に対して一定の効果が期待できますが、重症の場合には効果が制限される可能性が高いため、重症の方にはおすすめされません。治療を検討する場合、対応できる歯科医を紹介します。

外科治療

耳鼻科では、睡眠時無呼吸症候群の治療として、扁桃やアデノイドの摘出が行われることがあります。これらの組織が過大である場合、気道の狭窄や閉塞が引き起こされ、無呼吸の原因となることがあります。手術によってこれらの組織を取り除くことで、気道の通りが改善され、睡眠時無呼吸症候群の症状が軽減されることが期待されます。

レーザーを使用してのどの部分やその周辺組織の切除が行われることもあります。これにより、気道の拡張や通気性の向上が図られ、睡眠時の呼吸の安定が期待されます。

当院での検査と治療の流れについて

まず、診察後に簡易検査(パルスリープ)を行い、その結果に基づいてAHI(無呼吸低呼吸指数)を確認します。
AHIの結果により治療方針を決定し、重症の場合はCPAP治療を提案します。軽症から中等症の場合は入院での精密検査を行い、その結果に応じてマウスピースや体位治療を導入します。
気道の物理的な問題がある場合は外科治療も検討します。
治療の進行にあたっては患者様に合わせた適切な方法を選定し、生活習慣の改善も重要視しています。