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動悸

動悸とは

「動悸」は、胸がドキドキしたり、脈が速いと感じたり、脈が飛んだり不規則に感じたり、脈が強く感じる症状などをまとめて指します。
脈の異常に気付かずなんとなく気持ち悪い、力が入らない、などと感じる方もいます。これは心臓動きが通常よりも速くもしくは強く拍動することによって引き起こされ、血液を体内に送り出すための心臓の拍動が不規則になることで生じます。
多くの場合、短期的で軽度な症状であり、特に治療の必要な病気の兆候ではないことが一般的ですが、時には深刻な病気のサインである場合もあります。動悸は心臓の状態やストレスなどの身体的な問題の兆候として現れることがあります。

動悸のセルフチェック

動悸の自己診断のためには、「検脈法」というセルフチェックが役立ちます。検脈法は、右手(利き手)の人差し指、中指、薬指の3本で左手首(利き手と逆)の親指側の窪みを軽く押さえるように触れて脈拍を計測する方法で、不整脈のセルフチェックや運動時の心拍数の確認に適しています。

セルフチェックの具体的な項目は以下の通りです。

  • 脈が不規則であるか(検脈で不規則な脈を感じるか)
  • 脈が速く感じるか、飛んで感じるか、強く感じるか
  • 動悸の症状が突然始まる、または終わるか
  • 動悸の発症と停止がはっきり分かるか
  • 症状が続く時間はどれくらいか(具体的な時間を計測)
  • 動悸が起こった際に行っていたことは何か(運動や飲酒など、具体的な行動の把握)

医師に受診時に上記のような動悸の症状を伝えることは、原因を特定する上で重要な情報を提供することになります。

 

動悸を引き起こす原因

動悸の原因は多岐にわたり、治療が必要な疾患とそうでないものがあります。不整脈や心臓病、貧血、甲状腺機能亢進症、低血糖などは医療機関での専門的な治療が必要なものです。一方で、ストレスや心の問題、更年期障害などが原因のものは生命にかかわるケースはほとんどありませんが、念のため検査を受けておいた方がよいでしょう。また、喫煙やアルコールの過剰摂取、薬の副作用も動悸の原因となります。

動悸と心臓病の関係

動悸の原因として最も慎重になるべきは、不整脈などの心臓病です。特に「発作性上室性頻拍」や心房細動、期外収縮は動悸を引き起こす可能性が高く、注意が必要です。心臓病以外でも、狭心症や心不全による胸痛や息切れが「動悸」として自覚されることがあります。心臓病による動悸が原因で心臓が止まる前兆のように感じることもありますが、そのようなことはまれです。

 

動悸を引き起こす心臓以外の疾患

貧血、甲状腺機能亢進症、低血糖などによって動悸が起きることがあります。これらは血液検査で鑑別が可能です。しかし、動悸の最も一般的な原因は「心因性」であり、不安障害、パニック発作、うつ病などの心の問題がきっかけとなることがよくあります。病名がつくほどの精神的な問題でなくても、ストレスの影響で動悸が生じることもあります。

受診時の注意点

動悸の原因は心臓に関するものだけでなく、他の疾患や心因性の要因も考えられます。何科を受診すればいいか迷う場合は、循環器内科を標榜しているクリニックや総合病院が適切です。
循環器内科医は心臓の専門家であり、心臓に関連する問題だけでなく、他の病気も包括的に診断できます。医師の指導のもと、適切な検査を受け、原因を明らかにしてから治療やケアに進むことが良い結果を得るために重要です。

 

動悸の原因の診断

動悸の原因を明確にするためには、経験した動悸の具体的な状況や症状についての詳細な情報が重要です。医師に提供するべき情報は以下のとおりです。

  • 急に始まったのか、徐々に増強してきたのか、何か特定の状況で感じたのか。
  • 急に収まったのか、時間をかけて収まったのか。
  • 動悸が起きるときに何をしていたのか。
  • 動悸が続いた時間や周期性があるか。
  • 動悸がどれくらいの頻度で起きるか。
  • 脈が不規則であるかどうか。
  • 脈の速さや強さについて。

これらの情報は医師が適切な診断や検査の方針を立てるのに役立ちます。

動悸の検査

動悸の診断では初期検査として血液検査や心電図検査、胸部レントゲン写真のほか、血液検査も実施します。これらの検査で異常が見つかれば、さらに詳細な検査を行います。一方で、心因性と不整脈によるものは問診でほぼ区別でき、心因性の場合に異常が見つからなかったのであれば経過観察となります。また、心療内科・精神科へ紹介する場合もあります。

 

動悸の治療法

動悸の治療方法はその原因により異なります。心臓病や不整脈が原因の場合、不整脈を起こしづらくするための薬や心拍数を調整する薬が使われることがあります。また、不整脈を生じる心臓の異常な部位をカテーテルを用いて焼灼する手術(カテーテルアブレーション)も行われることがあります。手術が必要な場合は、専門病院をご紹介いたします。

心因性の動悸の場合、抗不安薬や抗うつ薬などの薬物療法が行われます。同時に、日常生活でのストレスケアも重要で、ゆっくりと休息をとったり、深呼吸をすること、またカフェインやアルコールの摂取を控えることが症状の改善につながることがあります。

更年期障害による動悸の場合、漢方薬やホルモン補充療法が選択されることがあります。患者様の症状や状態に基づいて、適切な治療法が検討されます。

医療機関を受診される患者様の中で、動悸の症状を抱えている方は非常に多いです。動悸は様々な原因が考えられ、中には深刻な疾患が潜んでいる可能性もあります。そのため、命にかかわる原因を見逃さないようにするために、動悸が発生した場合は迅速に医療機関を受診することが非常に重要です。過去に動悸が経験された方でも、一度検査を受けておくことがお勧めされます。

動悸でお悩みの方は当院にご相談ください

まずは、セルフチェック項目で自身の症状を確認してみてください。これは診断時に有益な情報となり、医師に提供することで正確な診断が得られる可能性が高まります。医療機関を受診する際には、自分の動悸の症状がどの範疇に該当するかをできるだけ把握しておくことが有益です。

当院では動悸症状の患者様を診断し、治療が必要な場合は最適な方法を共に相談し、治療を進めていきます。何か気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。